Raphael
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☆愛犬チロ
 私は、以前に、一匹の犬を飼っていました。名前はチロといいます。十三年生
きていました。親ばかと言われるかも知れませんが、本当に賢い犬でした。私の
言葉をずいぶん理解していました。人間の子供から推測して、一歳半ぐらいの理
解力があったように思います。幼稚園の子供たちとかくれんぼをして遊んだり、
私のヴァイオリンに合わせて歌を歌ったりしていたのです。
そのうちレコードにまで反応するようになりました。それも、特にベートーヴ
ェンの交響曲に、どういう訳か反応するのです。緩やかな所はゆっくりと、曲が
早くなれば早く歌い、クレッシェンドでは盛り上がる。本当に驚くべき反応でし
た。
 ある日、ある人が家族連れで、私の所に訪ねてくれました。私は、いつものよ
うに、お客様の接待のために、チロに歌を歌わせたのです。レコードではもちろ
ん「ベートーヴェンの交響曲第一番」でした。そのあとで、私のヴァイオリンに
合わせてジングルベルを歌ってくれました。
 すると、その人が非常に喜び、いつか取材に来たいと言うのです。
「あなたは何の仕事をしているんですか?」
「私はカメラマンです」
「何のカメラマンですか?」
「NHKのテレビカメラマンです」
「NHKですか」
「明日、編集会議にかけてみます」
 まさか、たかが、犬が歌うぐらいで、NHKが動くはずがない。天下のNHK
である。私は全く気にもとめなかったのですが、数日後、彼から電話があって取
材の決定が行われたと言う。
 やがて、NHKテレビ放送局が取材に来た。もちろんカメラマンは彼であった
。そして、「ベートーヴェンを歌う犬」として、一九八三年十月十九日、全国に
紹介され、放映されました。私にとって忘れられない思い出を作ってくれた犬で
した。

☆捨てられた愛犬
 なにを隠そう、その賢い犬を、ある日、私は高速道路のサービスエリアに置き
去りにしたのです。今になって思えば、どうしてそのようなことをしたのか。自
分でも理由がはっきりしない。たぶん、精神的に疲れていたからであろうと思い
ます。
 置き去りされたことに気がついたチロは、きっと走り去る私の車を必死に追い
かけ、そして、ついには、力つきて高速道路に倒れてしまい、後続の車にはね飛
ばされ、死んでしまったに違いないと、私はそう思い込んでいたのです。
 三日の後、私は、自分がとんでもないことをしたことに気がついたのです。や
っと目が覚めたのです。それで、私はせめてもの弔いに、花を一輪捧げようと、
そのサービスエリアに出かけていきました。車から降りて、どこに花をおこうか
と思って見回していたら、高台を、すうっと、一匹の薄汚れた犬がよぎって行く
のを見たのです。私は大声で「チロ!」と呼んでみました。やっぱりチロでした
。薄汚れたチロが私に飛びついてきたのです。私は思わずしっかりと抱きしめま
した。
「生きていたのか?」
 すると、サービスエリアのあちこちから、掃除のおばさんとか、案内所の娘さ
んや、ガソリンスタンドのお兄さん、レストランの店長さん、など、いろんな人
が出てきて
「まあ!あなたの犬だったんですか。一体どうしたんですか?」
「すみません、つい忘れてしまって...」
 私は曖昧に答えました。
 彼らは、この三日間、チロがいかに賢かったかを話してくれたのです。
 飼い主の車を探して回る姿、夜はレストランの入り口で入ってくるお客さんの
顔をいちいち見つめて、いかにも飼い主を捜しているその姿、など。
 掃除のおばさんが、飼い主が現れないのであれば、今日こそ、連れて帰ろうと
手を出すと「うー!」と唸って、自分はここを動かないと言う姿勢を示す。
「とても感動しました」
と、彼女は言っていました。
 私は、ちょうどその日、ヴァイオリンを車に積んでいたので
「チロ、みなさんにお世話になったので、お礼に歌を歌ってあげなさい」
 と言って私がヴァイオリンを弾きました。チロは、そこで、私のヴァイオリン
に合わせてジングルベルを歌いました。盛大な拍手がサービスエリアで起こった
のです。掃除のおばさんが泣いていました。
 犬は人間に忠実であるとは聞いていたが、犬があそこまで忠実であるとは思っ
てもいませんでした。それにしても、自分は何という愚かなことを。私は心から
チロにわびたのです。
「羊飼いでなく、自分の羊を持たない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き
去りにして逃げる。狼は羊を奪い、また追い散らす。彼は雇い人で、羊のことを
心にかけていないからである」(ヨハネ十・十二ー十三)
 それから、間もなくしてチロの歌う姿がNHKのテレビで放映されたのです。
それから二年して、チロは老衰のためになくなりました。私は、もう二度と犬を
飼おうとは思わない。犬の思い出はチロだけでいいと思うからです。
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ふわふわが、高台とかを電話した。


【2006/04/06 19:48】 URL | BlogPetの縷縷 #-[ 編集]

ガブリエルが反応するはずだったみたい。
そしてきょうNHKで、レストランっぽい取材しなかった?
それにしてもNHKで接待したいなぁ。
【2006/04/06 18:43】 URL | BlogPetのガブリエル #-[ 編集]

キャットは、ここへ全国も取材するはずだったの。
【2006/04/06 17:45】 URL | BlogPetのキャット #-[ 編集]














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